■攻殻機動隊 2nd GIG 雑感

たまたまケーブルテレビで攻殻機動隊の特集が組まれていたので雑感。(実は一度見たことがある。)

しかし、2ndはイマイチ面白くないのは何故だろう?
脚本は練りに練られている、相変わらずの映像技術、演出は素晴らしいの一言だ。
 
同時代のアニメーション作品の中でも頭一つ抜けて完成度が高い。

だがどうも、2ndは9課あたりの動きがまどろっこしく、精彩に欠けている。
状況が動機に対し常に先行しているおかげで、
9課お得意の先手を打つという芝居が打てていない(この場合、読み合いにおいて後手を踏まなければ芝居が進まないという型に全編を通じてはまってしまった感がある。)故に流れが停滞している。
また、作中バトーが何度か愚痴っているように(なんで俺達がこんな事をしなくてはいけないのか?等)、シナリオががつがつとスケジュールどうりに立てられていて、舞台が非常に窮屈になってしまったといった感じだ。

また、芝居そのものの質でも、例えば十一人の個別主義者(首切る奴ね)なんかの過剰な芝居はあまりに滑稽でありすぎると思う。

演技過剰すぎるのは説明が必要だからかどうなのかわからないが、随所にあちらに向かってシナリオが進みますという標識になってしまっている。
そのため、この先展開がどうなるのか視聴者がうすうす感ずいてしまい、その上で、9課の面々がその状況を阻止しに向かうという非常にストイックな流れはイマイチ攻殻らしくない。

また、演技者の立ち位置が役割以上の働きをしていないのも気になる。
おそらく視聴者にとっての英雄というモチーフは一方的にクゼのものだろうが、
物語中のヤマトン達の英雄は個別主義者であったはずなのだ、だが、これは物語中では感じることが出来ないまま終わってしまった。
彼等はスイッチであり、またキーと成るべきだったと思うのだがあっさりスイッチで終わってしまい、その後触れられることはない。

そのため、クゼ単独犯説というゴーダなんかはなっから要らないよという流れは適切に切り出されてしまう(バト−VSゴーダ)
その点、この電波搭でのかたらいの回は上手く収拾していると思うが、これの回が各キャラクターが役割以上の行動をとるキーとなる回であったことも考えると興味深い。

やはり、悪役は語るに落ちるのであり、これが無ければ誰も動けないというあたり。
自分の目から見たら、出来ればゴーダには語らせたくは無かっただろうな、という印象である。