カレンダーの不思議。



今日は普通に労務の話。
今週は三連休がある。「やったーあ、ナリ!」。と皆さん連休に向かって仕事に、学業に励んでいると思われるが。
しかし、この九月の連休を巡って、過去に一騒動あったのだ。
今回はその話。


事の発端は平成17年5月に可決された国民の休日に関する改正法案である、施行は2007年より。(厳密に発端になったのは1985年からだが。)
大まかな改正内容は4月29日を昭和の日として変更し、今まで国民の休日であった5月4日をみどりの日とする、という内容なのだがこれは恐らく周知されていると思う。
ま、休日の改定と今まで国民の休日だったものが正式な祝日にランクアップするだけで特別大したものではない。


この法によって、国民の休日なる休日は消滅したはずなのだ。
しかし、何故か存在しないはずの国民の休日に関する条項が残っていた(る)のである。
これが良くわからない。
と関係者が頭を抱えた由縁である。
まずは改正内容の全文を載せておこう。

第一五九回

衆第一四号

   国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案

 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。

 第二条みどりの日の項を次のように改める。

  昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

 第二条憲法記念日の項の次に次のように加える。

  みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

 第三条第二項中「あたるときは、その翌日」を「当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日」に改め、同条第三項中「日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。」を「「国民の祝日」でない日に限る。」に改める。

   附 則

 この法律は、平成十八年一月一日から施行する。



     理 由

 国民の祝日として昭和の日を加えるとともに、みどりの日を五月四日とする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。



で、まあ、みどりの日と昭和の日は理解の範疇だが問題の部分はこちら。

『第三条第二項中「あたるときは、その翌日」を「当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日」に改める。
同条第三項中「日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。」を「「国民の祝日」でない日に限る。」に改める。』



??
一見、どうにも理解しがたい記述なのだが。
上記は改正内容で現実の条文とは異なる。
解説すると。
まず最初の項。(これは蛇足。)
第三条二項の変更内容は、振り替え休日の改定について述べたもので、例えば5月の3日4日5日の三連休のうち、例えば4日が日曜日だった場合、現行では翌日が振り替え休日になるので5日が祝日の場合、4日分の振り替え休日分は5日と相殺されて消滅するはずだった。これを5日が祝日の場合その日以後の最も近い祝日以外の日に移動させることが可能になったのである。
つまり、五月で言うと。
4日(日曜日でありみどりの日5日(4日の振り替え休日だがこどもの日のため相殺)6日(平日)
となるところを。
4日(日曜日でありみどりの日5日(こどもの日)6日(振り替え休日)
というワープ振り替えが可能になったのだ。これは3日が日曜日でも同じことがいえる。
さ来年の2008年5月6日がこれに当たる。


次に第三項の内容、これが問題の国民の休日に関する改定である。
そもそも、みどりの日が新たに新設されたのだから国民の休日は存在しなくなったはずなのだ、なんで内容を変えるのか解らないし、そもそも残す意味も無い様に思えたのだが。


これが残ったことに混乱があるのだ。
ま、改定それ自体は意味が無いのだが、(前後を祝日にはさまれた祝日以外の日を国民の休日とする。と当たり前の話。)
国民の休日に関する事項が丸々残ってしまったことで、事態はややこしいことになっている。
それは、9月の話。
この国民の休日に関する事項が残ってしまったために。
前後を祝日に挟まれた平日は自動的に国民の休日になってしまうのだ。
三年後。
2009年の話。
2009年9月は21日が敬老の日になる(ハッピーマンデー制度より)では23日はというとこれが秋分の日になる見込みが高いのである。
そうするとどういうわけだか、消滅したはずの国民の休日が復活する。
22日が国民の休日になってしまうのだ。
つまり、
20日(日曜日)21日(敬老の日22日(国民の祝日23日(秋分の日)
となる。
ややこしい、そもそも、国民の休日に関する法案が通った時からこの問題が浮上していたのだ。
祝日が増えたり減ったりするのは労務の関係上ややこしいし、休みなら休みでいいだろうが。と思う。
だから、私も含め多くの者が去年の改正で国民の休日に関する項目は消滅するだろう。と考えていたのだ。
だが、大方の予想に反して条文は丸々残ってしまった、じゃ、条文どおり2009年22日は国民の休日なのかというと?
これがまた、頭を悩ませる問題のなのだ。
そう、法律上休日だよといっても、世間に周知されていなければ営業しなければならない。
もともと存在しなかった祝日であり、年によって変わるイレギュラーな休日でもある。
例えば就業規則に年に15日(国の定める祝日数)の休日を取るとなっていればこの国民の休日は休日にならないことになる。
さらに言うなら、カレンダー屋も困るし。旅行業界関係者も困る。
休日が増えれば所定労働日数も変わる、総労働時間も変わりすなわち残業単価も変わってしまう。
ややこしい。
さらに、秋分の日が日にちがはっきりと定まっていない休日であるおかげで関係者は非常にやきもきした。
WIKIでも記述が断定していない。
頭を悩ませる由縁だ。
wikipedia国民の休日の項

近年の祝日法改正により、2003年以降敬老の日が9月15日から9月第3月曜日になった(ハッピーマンデー制度)ため、2009年の敬老の日は9月21日(月)になる。このとき、秋分の日が9月23日(水)になる見込み(秋分の日は前年の2月1日に国立天文台の官報報告を以って決定されるため、現時点で確定はしていないが、天文学上の計算では23日)であるため、9月22日(火)が5月4日以外では初めて「国民の休日」になるとされる。また同様のケースは2015年にも発生する見込である。



まあ、多分大筋では、2009年の9月22日は休日になるだろうとは思う。
数年に一度の大型連休である。楽しみだ。
だが、一般に周知されているとは言いがたく、え?増えるんですか?という意見をよく聞く。
これに関しては会社や社会にうやむやにされないためにも、マスコミや労組も含めて、国民総動員で休みだという前提の心つもりをしていることが大切である。
まあ、「なくてもいいや」といえるような仕事人間は今時少ないだろうから、無くなりはしないだろうが。