■子は父には勝てない

範馬刃牙 1 (少年チャンピオン・コミックス)

男は父に絶対勝てない、こういってしまうとあれだが。
多くの漫画において父に勝つということは最大の壁であり、最後の試練だ。

特にバキにおいてはもう読んでいてかわいそうなくらい勇次郎があまりに強すぎる。
バキが必死になればなるほど哀れに思えてくる。ああ、頑張ったよねバキ、空手家、ボクサー、ヤクザ、死刑囚にも、カマキリにも勝ったよね。全てはあいつに勝つためだよね。
でも勝てないよね、勇次郎には。
まさに格闘漫画史上歴史に残るパワフルお父さんである。

おそらく、バキに残された道は一つしかないのではないか?
このあたり、同じく長者連載中の「美味しんぼ」のシロウと雄山の微妙な関係の変化を参考にして欲しい。(この場合シロウが結婚し家庭を持ち、父になったことが物語の大きな節目となった、良い意味での新しい器の創造に成功したと思う。)

バキも刑務所なんか入っている場合ではなくここは親父になるべきだ、おそらく奴に勝つ(大局的な意味で)にはそれしかないのではないだろうか。