■くるくるワープ

人類の危機、地球の危機つまり私の危機!イスカンダルへ向かってGO.


というわけで、(どういうわけだ。)
本日はワープについて取り組もうと思うが、我々はからっきし科学力のないむしろ脳みそのないノータリン集団であるから、ここは単純単細胞の愛と勇気、つまり乗組員(仲間達)の友情パワーでワープしちゃうぐらいの気持ちで解決だ。


そもそも、ワープというからには三次元上の距離というのはそもそも関係がないはずだだが、多くの場合においてワープという行為にはそれなりの制限がついている。
いきなりどこでもどこまでも何光年でもというワープは普通存在せず、ある程度の短距離か、目標の明確な位置の確認を必要とするものが多い。(そういう意味で「どこでもドア」破格の性能だといえる。)
しかも、なんだかんだと言いながら、ワープ空間なる謎の空間を通常と同じ状態で普通に航行している宇宙船が多く、さらにはその中で戦闘行為まで行なってしまうのだからこれはちょっと不思議である。


仮にワープ技術が存在したとして、さらに敵対勢力が存在したとしてみよう。
(そもそも、どうやってワープするのか?なんてのは友情パワーで解決ということで。)
ここで考えられる戦闘行為は概ね一つ、ワープによる超長距離空爆しかない。
高性能の核爆弾か何かを目標の内部にワープさせればよいのだから、光子魚雷や、なんとかレーザーやらビームやらスターデストロイヤーなんかは一切不必要で、ワープ装置と爆弾で全てが足りる。


そんな世界では宇宙船が必要なのかどうなのかすら定かでない。


そういうわけであらゆるワープを扱うSFで宇宙船が存在している以上、それなりの理由があると思うのだが。
これは対象の座標の特定が出来ないとその場所にワープが出来ないという制限にリアリティがあるように思う。


たしかにワープは短距離だけとか入り口と出口があるとかそういう制限も可能だが。
余りに近い短距離ワープはそもそものワープではなく速く移動しているだけのようであるし、その制限が定かでない以上100万光年が短距離なのか長距離なのかわからないというのはプロット制限としていまいちである。


次に、入り口と出口がある場合だが、これは戦闘行為を行なううえでは入り口を自陣近くに作り出口を敵陣近くに作るのが効率的だ。だが、出口が入り口になるとなればこれはあまり効率的ではない、結局せっかく作った出口が敵に利用される恐れがあるのだ、そうなれば自陣近くに入り口を作ることもなくなるのである程度はなれたところにトンネル作って、と、これをお互いに繰り返すとやたら手間がかかる上にトンネルを何個も作るのが大変でとても戦争どころではない気がする。


で、位置の特定という制限なのだが、これを裏返して座標を特定させない手段なんかがあるとワープの道具としての魅力が広がる。例えば自陣は常に不規則にワープさせて位置を知らせずというのがすぐに思いつくがこれは戦術としてとても面白い、常にワープしているだけでは作戦の指揮も何も出来ないので敵陣の移動場所を予測した戦略の組み方戦闘方法、通信の傍受したりデコイを流したり草をつかったりというのは実に夢が広がる話だ。
母星の所在を知られれば即アウトというのもなかなか戦略的にも緊迫感がある。


また、さらに位置を特定させない三次元上の範囲を特殊な空間によって造りだすというのはどうだろう?その特殊な空間にはワープできない為、その特殊な空間を発生させる艦船を撃破することを目的とした複合的な戦略が必要になる、さあ、これで我々は宇宙陣取り戦争にたるプロットを手に入れることが出来た。


これによりワープは近接戦闘ではその意味を持たなくなり古き良き宇宙戦争が繰り広げられるのである。
うむ、作戦終了である。実によい出来じゃ。


さてここで、種明かしだ、というか気付いていると思われるが。
この位置特定の制限は、すでに既出が多い。例えばドラゴンボールの悟空の瞬間移動、これは気の位置がわからないと出来ないという制限、ドラゴンクエストのルーラも一度行った場所にしかいけない。
これもワープの理不尽過ぎる有益性を上手く制限したものだろう。


そういえばワープが出来れば永久機関が作れるなあと、また話が広がりそうだがここでお粗末である。