○金田一少年の事件簿 いきなり解決編

「柴田さんが自殺じゃない?どういうことイジメちゃん?」
「このトリックを使えば柴田さんは4時過ぎにはすでに死んでいたことになる。何者かの手によって殺されたんだ。そして柴田雄一を殺し、柴田夏子を殺した赤鬼はこの中にいる!」


「何言ってんだよ、柴田が夏子を殺して自殺したに決まっているんだ!」
「そんな、お父さんと夏子を殺した犯人が他にいるなんて!」
以下、登場人物動揺。


「いいか美雪、俺達は最初、夏子ちゃんを殺したのは柴田雄三だと考えていただろ。けれど柴田雄三氏が殺されたのは実は4時過ぎだった、夏子ちゃんが殺されたのは5時過ぎ、この殺人は柴田さんが犯人では不可能犯罪なんだ。」


「そんな!じゃあ。」
「どういうことだよ、じゃあまだ赤鬼は俺達の中にいるってことなのかよ」
ざわざわ。


「そうだ、柴田雄三氏を殺し、その娘、夏子の命を無残に奪い去った赤鬼。それは、お前だ!!」
「え?」
イジメ、冬子を指差す。以下、登場人物驚嘆。


「イジメちゃん!何言ってるの?冬子ちゃんは・・」
「そうだ、冬子ちゃんは父親と妹を失っているんだぞ!なんてことを言うんだ!」
一同混乱。


「もう一度言うぜ美雪!夏子ちゃんの双子の姉、柴田冬子が全ての犯罪を犯した真犯人赤鬼だったんだよ。」
「どういうこと?イジメちゃん」
「思い出すんだ美雪、夏子ちゃんが殺されたあの時、夏子ちゃんは髪飾りを握っていた。あの髪飾りは誰かが夏子ちゃんの手から髪飾りを剥がそうとしたみたいに酷く壊れていただろ。最初、俺達はこれが夏子ちゃんのダイイングメッセージだと考えたんだ、柴田雄三氏が夏子ちゃんと冬子ちゃんに贈った誕生日プレゼントだから殺された冬子ちゃんはこの髪飾りを握り締めていたんだと。」
「そうじゃなかったの?」
「思い出すんだ美雪、夏子ちゃんと冬子ちゃんの誕生日パーティーのあの時、夏子ちゃんが髪飾りを付けた冬子ちゃんに最初になんて言った?」
「えっと、意外に似合ってるわね・・って」
「そうだ、だけどこれは変な話なんだ美雪、俺達は最初から最後までいつも夏子ちゃんと冬子ちゃんがペアルックで同じ服装をしていたから夏子ちゃんも冬子ちゃんと同じ髪飾りを貰っているものだと思い込んでいたんだ。けれど、あの時彼女は冬子ちゃんに・意外・に似合っているといった。つまり、柴田夏子は髪飾りを付けた自分の姿を見たことがないんだ。だってそうだろ、夏子ちゃんと冬子ちゃんは瓜二つ髪型も服装も全く同じ、違うのは性格ぐらいだ。だから夏子ちゃんが冬子ちゃんに意外に似合っているというのはおかしいんだよ。」
「じゃあ、イジメちゃん」
「そう、柴田雄三氏から誕生日プレゼントの髪飾りを貰った女の子は冬子ちゃんだけだったんだよ。なあ?柴田冬子、いや、柴田夏子か?」
「双子の誕生日に片方にしか贈られなかったプレゼント、それが全ての元凶であり、またこの事件の鍵を握っていた、と」
ここで明智警視が解説に入る。以下ざわざわ。


「つまり、動機から考えれば殺されたのは父の愛を独占した柴田冬子であり、自分を裏切った父を殺したことも含めて、今この場にいる彼女は柴田冬子ではなく柴田夏子である。と」


「そうなんだ、明智警視。だけど結局は同じことなんだ、彼女が柴田夏子でも冬子でも。つまり、殺されたのが柴田夏子だとして髪飾りを強く握っていたのは髪飾りが柴田冬子のものだったから。つまり、柴田冬子が犯人だと伝える為に髪飾りをあんなに強く握っていたんだ。」
「だが、殺されたのが柴田冬子だとしても同じことだと?」
「そうなんだ、ここで殺されたのが柴田冬子だとしても同じことなんだ、柴田夏子は柴田冬子を殺して柴田冬子に成り代わろうとしている。それを防ぐには自分が柴田冬子だと伝えなければならない、だから自分が柴田冬子だと自分の存在を主張するために髪飾りを握っていた。」


「なるほど、髪飾りが一つしかないことを逆手に取ったと。」


「だが、柴田夏子は悪魔の発想をひらめかせたんだ、夏子ちゃんは事件の後、俺達に髪飾りを無くしてしまったと言っただろ?ここで俺達は髪飾りが二つあるものだと思い違いをしてしまったんだ。まんまと成り代わりに成功したわけさ。」


「けれど結局は被害者柴田冬子の握り締めた最初で最後の自己主張が俺達に伝わったんだ。犯人は柴田夏子、お前だ!」
一同しーん。冬子に視線が集まる。


「ふーん?で?私は夏子なの?冬子なの?どちら?」
「状況から考えると、柴田冬子ですが。」


「そう?私が髪飾りをほんとに無くしてしまったといっても?私が身につけて鏡を見る前に・・・」


「そうですね、確かに我々には貴方がどちらかわからない確かめるすべはありません、ですが先ほど金田一君が言ったとおり、貴方がどちらだとしても我々は貴方を逮捕できますよ。」


ここで金田一突然叫ぶ。


「柴田夏子!お前はなぜ柴田雄三氏が、冬子ちゃんだけに髪飾りをプレゼントしたかまだ解かっていない。雄三氏は冬子ちゃんと夏子ちゃんの二十歳の誕生日に2人の違いをプレゼントしたかったんだよ!その証拠にこれを見ろ!」


一同、金田一に注視。


「これは雄三氏の手に握られていた何かの紐だ、俺は最初柴田氏がこれで首を絞められたとばかり思っていたんだ、けれどこれは首飾りの一部なんだ、割れたガラスに混じって首飾りの装飾も見つかった。柴田氏は双子でも日付を越えて生まれた柴田夏子!お前に一日遅れの誕生日プレゼントを贈ろうとしていたんだ。お前に殺されたようとしていたまさにそのときに!!」
柴田夏子悲しい瞳で金田一を見つめる。


「確かに、夏子なら冬子に成りたかったでしょうね、お父様に愛され、みんなに愛される冬子に。でも、違うの、冬子が愛されるから夏子は憎まれるの、そうでなくては夏子は夏子ででなくなるもの。
金田一君、あなただけは最初から最後まで私を夏子と呼んでいたわね、お父さんでも間違えることがあったのに。でも、私にはもうわからないの、私が夏子なのか冬子なのか・・お父さんなら私をどちらか決めたくれたでしょうね、でも、もうその機会も、何もかも失ってしまったわ。」


金田一イジメの事件簿 赤鬼殺人事件 終劇


と、今回はミステリーで責めてみたがどうであろうか?
なかなか難しい、柴田雄三氏の殺害トリックも考えたのだが話が長くなりすぎてやむなくボツ。
出来れば誰か感想ください、というか、誰か使ってくれないかなこのネタ。(ま・無理か、)