NHKの外人インタビューにありがちなこと



アメリカ合衆国 カリフォルニア州パサデナ NASA米国航空宇宙局ジェット推進研究所 ジョン・マクレーン技術主任(45歳)


「映像が送られてくると管制室に喝采が上がったんだ、みんなモニターにかじりついてさ、何時間も誰もモニターから離れようとしなかったんだよ。笑っちゃうだろ、人類最先端の天文学と物理学をありったけ詰め込んだ技術者達が、みんな少年みたいな目をして期待していたんだ。モニターの向こうの赤茶けた岩の陰から火星人が姿を現すかもしれないってね。」


元イギリス陸軍 ロビンソー上等兵(89歳)


「あの時は私たちは皆弾丸の嵐の中を進んでいたんだよ、爆撃機の轟音と機関銃の一斉掃射の銃声が絶え間なく響いて止まなかった。あるとき誰かが、伏せろ!と叫ぶのを聞いて私はとっさに前のめりに倒れ込んだんだ、こうやってね、起き上がって見れば回りは死体だらけさ。後で気付いたんだがね、そのとき私の左足の親指はもう炭になってしまっていたんだよ。」


アメリカ合衆国 ニューヨーク州 バークレイズ・バンク・ピーエルシー行員 アルフレッド・デリンジャー氏(26歳)


「マツイ?そうだね、彼の紳士的なプレーは私たちアメリカ人に希望を与えてくれるよ、思慮深いアメリカ人はみんなマツイのファンなんじゃないかな。」


アメリカ合衆国 ルイジアナ州 ニューオリンズ市 デヴィット・ハーヴイントン氏(58歳)


「この街は黒人の魂さ、あのハリケーンで私たちは全てを失ってしまったけれど、そう何時までも落ち込んでいるわけには行かないよ。なんたって俺の体に流れている血はあのマイルスの血と同じなんだからな。そうだろ?」


ウクライナ キエフ州 ブリビャチ市 イワン・ロドサノフさん(75歳)


「当時、私たちは貧しく、思いもかけない高給に踊らされていました。それがどんなに危険な行為なのかまるで頭に無かったのです。粗雑な防護服と簡素なマスクを渡され、一日中真っ暗なドームの中で灰を落とす作業を命じられました。私達は防護服を着ていましたが、作業が終わって鏡を見ると私の鼻と口の中は真っ黒だったんです。そのうち一人二人と、幾人かが体調不良を訴えて病院に収容されましたが誰一人も帰ってはきませんでした。私も3週間目には鼻血が止まらなくがなっていました。私達は何も知らされていなかった。こんなことになるなんて思いもしなかったんです。」




そして、私達は、目の前の大地を生きた証としての文脈という山脈を、遠く宇宙の果てからなぞっていく。